ビジネスパーソンには会計の知識が必要、と言われますが、
多くの場合、会計は「わかりにくい」「難しい」という印象ですし、
経理担当の方でもなければ「勉強しても役に立つ気がしない」
という感覚であることが多いかもしれません。
中高生のころ「こんなの勉強して何の役に立つんだ」と
思いながら、嫌々受験勉強していたような気分でしょうか。
売上に直結するので、営業や、マーケティングのスキルを学んだ方が、
ビジネスパーソンには良い、というのはわかりやすいです。
しかし、会計、とりわけ財務の知識を深めることは、
経営者はもちろん、ビジネスに関わるすべての人にとって、
必ず役に立ちますし、
最近では、国を挙げて推奨している「投資」にも役立ちます。
ある下町の製造業の例です。
創業50年以上の製造業で、創業家の一族が経営を担い、
多くの職人を抱える「ザ・下町の製造業」というカンジの会社。
職人たちは熟練した技術を磨き上げ、良いものを作っていることに
プライドを持って仕事をしています。
経営層も、良いものを世に出せば売れる、と考えていました。
そこで、営業研修を行ったり、マーケティングのコンサルを通して
売上を上げようと努力してきました。
結果、年商は上がりましたが、利益はどんどん下がっていきました。
とりわけ手元の現金や、銀行の預金残高はいつもギリギリです。
社長は危機感から思いつく限りの施策を打ちましたが、
多少の改善はできても、状況は大きく変わりませんでした。
訳が分からず、最後に社長が頼ったのが財務コンサルタントです。
コンサルタントは社長に企業会計の基礎を伝えました。
併せて職人たちにも、会計の考え方を根気よく教え続けました。
当初は数字を毛嫌いし、社長が経費や在庫について指示を出すたびに
反発していた職人たちが、次第に現場で自ら考え動くように。
その結果、利益率は劇的に上昇、手残りキャッシュも年々増加し、
審査が通るようになった銀行からの融資と併せて新規設備投資も
行えるまでになりました。
集めた資本を、どこにどれだけ投資して、リターンを最大化するか、
ということを、計画、実行するサイクルで企業活動は成り立っていますが、
その意思決定に必要なのが、財務的な観点での確認、分析です。
会計を行うことによって、PDCA でいう「Check」、
OODA でいう「Observe」を正確に行い、
財務の考え方で「Plan」や「Orient」「Decide」を
行うことが可能になります。
会計や財務の知識は、経営者と同じ視座に立つことができる
最強クラスのマネジメントスキルであり、
会社の業績に貢献し、結果的に自らの給与や
ボーナスUPにも貢献するスキルでもあるのです。